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社会学入門2012 第14講 リポート3 [社会学入門]

社会学入門2012 第14講 社会学理論 リポート

課題作品

『BOSS』(第1シリーズ第1話)

 演出:光野道夫
 脚本:林 宏司
2009年4月16日~2009年6月25日放送
木曜劇場枠
キャッチコピー
「さっさと逮捕して、遊びに行くわよ」

第3回リポート課題

「小野田・屋田・丹波はなぜだまされたのか」

捜査一課係長の小野田、参事官の屋田、刑事部長の丹波は、大澤の策略に見事に引っかかりだまされる。だまされた理由を講義の中で扱った社会学理論を使って説明しなさい。


☆説明の根拠をあげて、詳しく論述すること。私は行間の意味をくみ取らない。すべて言葉で表現すること 。

【リポートの注意事項】
☆この課題は感想文でも作文でもない、小論文として描きなさい。
☆文字数は800字以上。

【提出方法】
基本的には大学のリポート管理システムであるCoursePowerを利用して提出すること。このシステムを利用できない場合は、電子メールに添付して提出すること。その際、受領確認メールが返信されるのでそれを確認しなさい。なおメールアドレスは講義中に案内している。

【提出期限】
2012年8月2日(木曜日)17時まで

☆提出期限に遅れた場合には提出されなかったものとする。いかなる理由も受け付けない。なお、リポートが提出されなかった場合には、「F」(失格)となる。


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社会学入門2012 第13講 権力と権威 [社会学入門]

社会学入門2012 第13講 権力と権威

今回の題材

今回の題材
『コードブルー ドクターヘリ緊急救命』
(シーズン1第1話)

演出:西浦正紀、葉山浩樹
脚本:林 宏司
2008年7月3日~2008年9月11日放送22:00~
木曜劇場枠

 今回の講義ノートはスライドの内容をそのまま引用しています。

【医師と患者の関係】
ドラマの中で患者の多くは医師の言葉に従っている。自分の腕が切断されるという状況においても患者(けが人)は医師の言葉に従う。それはなぜか?

研修医は指導医師の指示に従う、それはなぜか?

看護師は医師の指示に従う、なぜ?


【支配と服従】
支配:「個人ないしは複数の人間が、優越的な地位に立つことによって、他の人間の行動を継続的かつ効果的に規定し、そこに従属関係を成り立たせる場合、支配(関係)が生まれる」

服従:「支配者の命令に従って行動すること。支配関係が成り立つためには、一定最小限の服従意欲を必要とする」
(『社会学小辞典』有斐閣)


【権力とは】
権力:支配-服従の関係で発揮される力

ドイツの社会学者M.ヴェーバーの定義
「ある社会関係の中で、他者の抵抗を排除して自己の意志を貫徹する全ての可能性」

【権力の4類型】
自発的服従
説得による支配
威嚇による支配
暴力による支配


【自発的服従】
自発的服従では、服従者は支配を当然のこととして受け入れる。たとえば、互酬性が確保されない社会的交換においては、服従者は支配者に対して負い目を感 じ、支配に服従する。あるいは支配者に秘密を握られている場合もやはり服従者は自発的に相手の支配に服する。恋愛関係においては、先に相手に惚れた方 が、惚れた弱みから相手の言うことを積極的に聞く。


【説得による支配】
支配者が服従者に服従の理由を説明し、服従者はそのことを了承した上で権力が行使される。たとえば封建的主従関係では、主人は働きに応じて従者に対して 報償を出す。従者は報償が与えられることを了解して、主人の命令に従う。現代社会においても利益が与えられることを条件に 支配者に服従する場合がある。企業と雇用者との関係は、一種の説得による支配関係がある。


【威嚇による支配】
服従しなければどうなるかを脅しながら実行する権力。たとえば服従しなければ、金銭、名声、社会的地位からの失墜をほのめかしたり、暴力をふるうと脅して、服従させる。


【暴力による支配】
実際に暴力を行使して支配に服従させる権力。たとえば『ドラえもん』のなかで、ジャイアンはのび太に暴力をふるって服従させている。これは暴力による支配。暴力による支配では、支配者は常に暴力を行使し続けるか、暴力を行使する手段を備えておかなければならない。服従者が支配者よりも強くなったり、支配者が暴力の手段を失ったら、支配できなくなる。


【支配の類型と権力】


【安定した権力の行使】
権力を安定して行使するためには、<支配-服従>関係が安定して維持される必要がある。
→安定した<支配-服従>関係には「権威」が存在する場合が多い。


【権威(authority)とは?】
「複数の人間から自発的・盲目的な服従を引き出す力」であり、この権威の源泉は、「複数の人間から、自分たちより優越した何らかの価値が備わっていることの社会的承認」である。他人より優れた何らかの価値には、「個人の属性」に関する価値と「社会的地位」に関する価値がある。


【権威における優れた価値】
 「個人の属性」とは、魅力、識見、経験、技術、特異な能力で、「社会的地位」とは、家柄や肩書き、職業などをさす。

医師と患者の間に<支配ー服従>関係が成立するのは医師という社会的地位の権威が承認されているから。

藍沢耕作のまわりの医療従事者が彼の指示に従うのは、社会的地位に権威があるだけではなく、彼自身の才能の権威が承認されたから。


【権威に基づく権力の行使】
 権威の正当性を承認する人の数が多くなれば、権力の行使は安定し、強力になる。なぜなら権威は服従者自身がその正当性を認めているからである。そのため自発的服従という権力が行使される。権威に基づいた支配は「伝統的支配」、「カリスマ的支配」、「合法的支配」の3つに分けることができる。


【伝統的支配】
「今までもそうしてきたのだからこれからもそうしよう」というように伝統に基づいて、服従者は自発的に服従する。家制度の中での家長の権威や男性優位社会における男性の権威、家元制度における家元の権威など。伝統的支配は社会的地位による権威と考えることができる。

「先生」と呼ばれる人は、本人の意志とは無関係に自発的服従を引き出すことがある。これは「先生」という権威による「伝統的支配」である。


【カリスマ的支配】
特別な人間がもつ資質や才能をカリスマと呼ぶ。カリスマ的支配では、カリスマをもった人物に対して人々が畏怖の念をもって服従する。たとえばイエスやマホメット、釈迦のような宗教者やナポレオンのような英雄、レーニンのような革命家、ヒトラーのような煽動家などはカリスマをもった人物として、人々は尊敬し、畏怖の念をもって従う。カリスマ的支配ではカリスマをもった人物と服従者との間に情緒的な関係がある。

カリスマ的支配は「歴史的偉人」だけでなく、我々のまわりの一般人にも生じる。

 カリスマ的支配は、カリスマをもった人物が死亡した後も「世襲カリスマ」や「官職カリスマ」として継承される。「世襲カリスマ」では、カリスマをもった人物の血脈にはカリスマが継承されるという信念に基づいてカリスマが継承されていく。映画『ダ・ヴィンチ・コード』では、イエスの血脈にイエスのカリスマが継承されているように描かれる。「官職カリスマ」では、組織上の地位にカリスマ性が付与されて(人々がカリスマが継承されると承認して)継承される。イエスのカリスマはローマ法王に継承されました。


【合法的支配】
規則(制度)に正当性があると人々が意識して成立する支配。たとえば行政官僚、政党、企業などの官僚制的組織の階層的支配がこれにあたる。国会議員がときおり偉そうな顔をして人に命令を下して、服従させているが、これはこの合法的支配に基づく。国会議員という社会的地位は人々が選挙という行為によって、権威が付与されたものである。端的にいえば、選挙というのは、権威を承認する行為であり、自発的に支配に服するということを認めることになる。






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社会学入門2012 第12講 状況の定義とラベリング  [社会学入門]

社会学入門2012 第12講 状況の定義とラベリング

今回の題材
ゴースト 天国からのささやき シーズン4 2話10年目の再会』

原作:ジョン・グレイ
監督:ジョン・グレイ
プロデューサー:ジェニファー・ラブ・ヒューイット他

【あだ名】
 高校時代、メリンダ・ゴードンは「メリンダ・ゴースト」と呼ばれていました。彼女自身は「霊が見える」「霊の声が聞こえる」という話を友人にはしていません。ただ小学生時代からメリンダは幽霊が見えると言うことを友だちに話しており、「変な子」と呼ばれていました。その話が高校でも伝わっていて、「変な子」だと考えられていたのだと思います。

 成人してからも「変人」という目で見られている、と彼女自身は意識しています。実際、そのようにみる同級生がいました。一方では逆の評価をしている同級生もいたようです。


【ラベルをはる(レッテルを貼る)】
 個人や集団にある特定のレッテル(あだ名、呼び名など)を貼ることを「ラベリング」(labeling)と呼びます。

*レッテル:もともとオランダ語のletter
①文字、②商品名・発売元・内容などを表示して商品に貼り付ける紙の札、③ある人物や物事についての評価
*ラベル:英語label 商品名・分類番号・宛名などを表示するために貼る紙片。


【レッテルは何?】
レッテル=予言
予言の自己成就は、周りの人間が「○○と信じれば」それが実現する、という理論でした。ラベリングも予言の自己成就と同じ仕組みで作用します。

 つまり、ラベリングは、
 たとえ本人にそうした要素がなかったとしても周りの人間が「○○」として対応すれば、本人の意志とは無関係に○○にされてしまう(あるいはなってしまう)、という理論です。


【ラベリングの効果】
 予言の自己成就が実現しやすいのは、影響力のある人や組織(権威のある人や組織など)が予言を行った場合だと説明しました。同じことがラベリングにも当てはまります。ラベリングでも影響力のある人や組織によって貼られたレッテルの効果は大きくなります。

*教室での教師、会社の上司、弁護士、マスメディアなど。


【スティグマ(烙印)】
 正常からは逸脱したと他者から見なされるネガティブなレッテルをスティグマ(stigma)と呼びます。その多くはマイナスイメージととらえられる欠点や短所となる属性(肌の色、いわゆる身体的障害、めがねなど)で、それが差別や偏見の根拠となります。

→スティグマのカテゴリー化
 スティグマをはる、というのは属性に基づいて人間をいくつかのカテゴリーに分類するということを意味します。このように個人をいくつかのカテゴリーに分類するとことは、個人の個性を失わせる、ということにつながります。


【マイナスのアイデンティティ】
 スティグマは本人にとっては好ましくありません。しかしスティグマをラベリングされて、周囲の人間が差別的な対応を続けるにつれて、そのレッテルに「居直り」、スティグマに誇りさえ持つようになることがあります。これを「否定的アイデンティティ」の引き受けと呼んでいます。

☆アイデンティティは他者によって証明されるもの
☆「寝たきり老人」もラベリングの一つ。本人も「寝たきり老人」というアイデンティティを形成する


【ピグマリオン効果】
 本人にとっても社会にとってもプラスとなるレッテルをはり、そのようになってしまう(ラベリング)ことを「ピグマリオン効果」と呼びます。

 教育現場ではピグマリオン効果を期待したラベリングがよく行われます。あまり成績がよくない生徒に「君には才能がある、少しだけがんばれば成績が上がるよ」と声をかけます。少しでも成績が上がれば「ほらできたじゃないか。君には才能があるからだ」声をかけ続けると、本人もその気になって実際に成績上位をキープするようになる。
 これは役割演技と関係します。周りに期待された役割を自分の意志とは無関係に「演じ」続けることで、自分の意識自体がそのようになっていくということです。


【ジムのセリフ】
「君はいつも正しいと信じることをしている。それは必ず正しい結果につながるはずだ。そうなるまでがんばるんだよ。もっとがんばる。」

 メリンダは自分が置かれた状況をけっして「否定的」にはとらえません。必ず問題は解決できると「信じています」。


【状況の定義】
 「人がある状況を真実であると定義すれば(思い込めば)、結果においてもその状況が真実になる(本当になる)」
=状況の定義あるいは「トマスの公理」と呼びます。

 このように事柄やレッテルだけでなく、状況にも「予言の自己成就」的な要素があります。つまり他者から見て嘘だと断定されることであっても、特定の情報に基づいて自分自身が状況を定義してつくりだすことです。

 以下、いくつかの事例をあげておきます。

【流行色はつくられる?】

「この春の流行色はオレンジ」という予言は実現する?

ファッション業界団体において流行色コンセプトを決定
          ↓
流行の最先端を行きたいという女心をくすぐる
(刺激された女性が実際に購買行動に移す)
          ↓
店頭にはその色の商品が中心に並ぶ
          ↓
オレンジ色の商品が売れて春の流行色になる


【血液型による性格診断】
?型のチェック項目をチェックしていき、?型の行動パターンをみたとき、「あるある」と共感してしまうことが多い。
→血液型性格診断はただしい、と状況を定義する。

→どの内容を読んでも当てはまるような気がしていく。


【その他の状況の定義の事例】
プラシーボ効果(ビタミン剤が鎮痛薬になる)、
白衣性高血圧症、
ホーソーン実験(作業効率をあげるために明るい部屋と暗い部屋で作業を行った。その結果?)





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社会学入門2012 第11講 予言の自己成就  [社会学入門]

社会学入門2012 第11講 予言の自己成就

今回の教材

SPEC~警視庁公安部公安第五課
 未詳事件特別対策係事件簿~』(第1話、甲の回)

脚本:西荻弓絵
演出:堤幸彦
2010年10月8日~12月17日 金曜日22時~金曜ドラマ
TBS系で放送

 占い師の冷泉は国会議員の五木谷に「パーティで殺される」という予言を行った。この予言がなければ五木谷は死ななかったのでしょうか。もちろん殺人は予言とは無関係に計画されている。

【冷泉の言葉】

 冷泉は次のように言っている。

五木谷に対して「2億円払うと未来を変える方法を教える
警察に対して「今の自分が変わると未来も変わる、これ必定」

「私には未来が見える。未来は絶対なのです」

【未来の予言】

 冷泉の言葉には未来が変わる可能性と、変わらない可能性があることを示しています。未来は変わるのでしょうか? このドラマの中では瀬文が次のように言っています。「くだらん予言など阻止してみせる」。このセリフは瀬文が「予言は成就する可能性があることを」強く意識しているということを示しています。しかし同時に予言が変えられるということを信じているのです。

【予言の効果】

 冷泉が予言をしたことによって五木谷は警察に連絡し、警備員を雇用して警備を強化しました。さらに未詳事件特別対策係が動くことによって冷泉はより詳細な殺害方法を漏らしました。

→「パーティで必ず毒殺される」

秘書はこの毒殺という言葉によって「飲み物と食べ物のチェックを入念にしなくては」と言って、警備対象を絞り込むことに成功する。

 これに対して瀬文は冷静に「毒殺という言葉に振り回されるな。言葉に振り回されると警備の本質を見失うぞ」と警告しています。にもかかわらず警備は飲食物に集中し、視聴者も飲食物に注視していくことになります。

【予言の結果】

 殺害の予言によって警備態勢を整え、毒殺という予言に従って飲食物のチェックへ警備を集中します。つまり予言に対応して人々が動いています。このように予言に従って人々が行動することによって、犯人が殺人を犯すスキを生み出し、結局、

予言は成就する。

【予言の自己成就】

人々が○○は本当だと思って行動したために、そう思わなければ実現しなかった○○になってしまう現象を社会学では

「予言の自己成就」

と呼んでいます。

この仕組みはシンプルです。ドラマで描かれていたように、当たると評判の予言者が行った予言は多くの人々に信用されやすくなります。同じように他の人に信用される人、人々からの信頼を得ている人、権威のある人の「言葉」は信用されます。そして人は信じることに従って行動します。だから嘘も本当になります。

 この予言の自己成就という現象は私たちのまわりで少なからず生じています。そしてこの理論が適用された別の理論があります。
 たとえば予言の自己成就の反対の現象があります。予言がなければ実現していたことが、予言を信じた人がそれが実現しないように防御しようとしたために予言が実現しなかった現象。これを予言の自己破壊と呼びます。





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社会学入門2012 第10講 地位と役割(5) [社会学入門]

社会学入門2012 第10講 地位と役割(5) リポート

課題作品

「家政婦のミタ」(第1話)

脚本:遊川和彦
監督(演出):猪股隆
放送期間:2011年10月12日~2011年12月21日


第2回リポート課題:

「ミタさんの何がおかしいのか?」

 地位=役割は規範として個人の行動を拘束する。ミタも家政婦という地位に期待される役割によって拘束され、期待される行動をしている。しかしそこに何かしらの「おかしさ」が内包され、その点に我々は面白さを感じる。
 ミタに期待される役割とは何か、そしてそれに対してミタはどのように対応しているのか、そしてそこにある「違和感」は何なのかを議論する。

☆説明の根拠をあげて、詳しく論述すること。私は行間の意味をくみ取らない。すべて言葉で表現すること 。

【リポートの注意事項】
☆この課題は感想文でも作文でもない、小論文として描きなさい。
☆文字数は800字以上。

【提出方法】
基本的には大学のリポート管理システムであるCoursePowerを利用して提出すること。このシステムを利用できない場合は、電子メールに添付して提出すること。その際、受領確認メールが返信されるのでそれを確認しなさい。なおメールアドレスは講義中に案内している。

【提出期限】
2012年6月28日(木曜日)授業終了時間まで

☆提出期限に遅れた場合には提出されなかったものとする。いかなる理由も受け付けない。なお、リポートが提出されなかった場合には、「F」(失格)となる。





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社会学入門2012 第9講 地位と役割(4) [社会学入門]

社会学入門2012 第9講 地位と役割(4)

 まずは今回の題材を紹介します。

『スジナシ 東京上陸スペシャル』
出演:笑福亭鶴瓶、妻夫木聡、宮藤官九郎
2004年11月名古屋市中央区CBCスタジオ収録

 『スジナシ』は1998年放送開始。開始当初は名古屋限定の深夜番組でした。反響の大きさから1時間枠、系列局(TBSなど)での放送、あるいは土曜夕方へ移動し、現在も放送が続けられています。このSPは166回放送分です。

【スジナシとは?】
 笑福亭鶴瓶が毎回魅力的なゲストを迎え、台本ナシ(スジナシ)、打合せナシ、NGナシ! 一発勝負のぶっつけ本番!!アドリブだけの即興でドラマを作り上げる、CBC制作の人気番組。
 どう展開していくのか?出演者だけでなく、カメラ・音声・スイッチャー等、すべてのスタッフも台本ナシ。全員が瞬間瞬間の緊張感を共有しながら一致集中して創る、先の読めない「その場のドラマ」 。
 毎回ワン・シチュエーションでセットを組み、その設定だけを頼りに即興ドラマを作り上げる。ディレクターからのOKの声がかかるまで演じ続けるのがルール、腹の探り合い・駆け引き・呼吸のずれなどもそのまま見せる、技量勝負の丁々発止 。
(以上、DVDのパッケージより引用)

 このドラマではセットを組むために状況だけが設定されています。それ以外の設定はありません。その場で地位が決められるため、あらかじめセリフを考えたり、役作りしたりといった準備ができません。その場で決められた地位について、その場ですべてを考えながら演じていきます。いわば役者としての瞬発力が試されるのです。

 しかしながらよく考えてみると、こういう状況というのを私たちも日常生活の中で体験する可能性があります。そこでは今までの自分の体験が生かされることになります。

【妻夫木が衣装選びに悩んでいる理由】
 最初のカットで妻夫木が衣装選びに悩んでいます。それはどうしてでしょう。衣装は「地位」を固定するアイテムであり、どの衣装にするかで演技の内容が決まってしまうからです。

学ラン=中学、高校の(男子)生徒
白衣=医師あるいは看護師
つなぎ=工場労働者

 衣装だけでなく、小道具(アイテム)も地位を特定する可能性があります。時計、めがね、車など。また化粧や髪型も場合によっては地位を特定することがあります


 さて最初に妻夫木が仕掛けました。
「親父!」
 この一言で二人の構造的地位が決められました。これによって鶴瓶は「親父として」期待される役割を演じることになります。この役割期待は演じている二人だけのイメージでしょうか?

 「親父」と声をかけられたときの鶴瓶の反応はどうだったでしょうか? 後からの解説でもわかりますが、鶴瓶はこのとき自分が親父になるとは考えていませんでした。だからここで彼は驚いたように竹刀を脇に置きます。

「竹刀なんかもってちゃ、いかんと思った」
たばこを吸っているの、怒るしかあらへんやないか」

このように考えたということは、親父についてのイメージがすでに鶴瓶の中にある、ということを表します(竹刀を持っていたら親父のイメージに合わない)。このイメージはどこからきたのでしょう?

 相手の役割に対する期待は最初からそれぞれの人の中にあるわけではありません。役割期待はじつは私たちの外、社会にあります。外とはいえ、私たちは社会の中で生活しています。私たちは社会がストックしている「役割期待のイメージ」に照合して相手に役割を期待し、期待された方もストックされた「役割期待のイメージ」に照合して、相手の期待を推測します。

 観客は「父親」と「息子」という地位に与えられた役割期待のイメージに照合して二人の演技をみます。
 同時に鶴瓶と妻夫木は、観客がストックしているだろう役割期待のイメージに「合う」ように役(セリフや表情など)をつくります。
 ここで二人はお互いにやりとりしながら、お互いが期待する役割をさぐりつつ、同時に観客が納得するような役割を互いに演じているのです。

 私たちは社会がストックしている役割期待に一致する行動、つまり地位に対してストックされた社会のイメージを考えながら相手の行動を観察し、そのイメージに合致したとき、相手の地位を推測し、その地位が本物であると判断します。
 鶴瓶は自分の妻を外人にしてしまいました。それには次のような二つの理由が考えられます。

→父親-息子の関係が本物に見えるように
→地位のイメージに合うように設定を修正する

私たちは自分の中に明確な役割期待を持っているのではありません。社会がストックしている役割期待を自分の中に取り込み(社会化)、それに適合するように自分の行動を選択し、相手の行動が取り込んだ役割期待に適合するかどうか吟味しています。

このように考えると、次のような結論を導き出せます。
→役割期待=規範
→役割に応じた行動=演技

地位に対する役割期待が明らかになり、役割のイメージが固定すると、役割期待は規範となって個人の行為を拘束することになります。個人は状況の変化、相手の行動に合わせて行動するだけで、後は取得した役割通りに行動するだけです。
 スジナシでも最初はとまどうが、いったん、「役」が決まってしまうと、後は話の流れに沿って演技するだけになります。

 人は生活の中でいつも同じ地位のまま行為することはありません。構造的地位は変化することが少ないですが、時と場所、状況によって構造的地位の内容は変化し、対人的地位が優位になることもあります。

→一日の中で地位は変化する。それに伴い役割も変わる。

 私たちはあらかじめ社会にストックされた地位に対する役割期待のデータベースを取得しています。そのデータベースから地位に適合した役割を選択して行動します。さらに今までに経験したことがなかった地位についたときには、社会化というプロセスをへて地位に対する役割期待のストックを社会から取得して、行動するようになります。

 社会がストックしているのは「地位=役割」イメージだけではありません。これ以外にも多くの知識のストックがあり、それらを我々は社会化というプロセスによって習得し、それを利用して生活しています。


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社会学入門2012 第8講 地位と役割(3) [社会学入門]

社会学入門2012 第8講 地位と役割(3)

今回の作品

「ウルトラマンメビウス」(第1話)
監督:佐野智樹
脚本:赤星正尚
2006年4月8日~2007年3月31日
中部日本放送、TBS系列で放送全50話
ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品


「TIGER& BUNNY」(第1話)
監督:さとうけいいち
脚本:西田征史
2011年4月2日~2011年9月17日
MBS系列で放送全50話
サンライズ制作

 ウルトラマンメビウスはどのように設定(世界観)されているでしょうか。本作が描かれた世界はウルトラマン、セブン、ジャック、A、タロウ、レオ、80が活躍していました。そして80が地球を去ってから25年間、怪獣は現れてはいません。
 つまりウルトラマンが存在する世界として設定されています。またウルトラマンが存在するということは怪獣が出現する世界でもあるということです。ドラマの中で「怪獣警報」という言葉が使われていることとそのことを示しています。

☆ウルトラマンや怪獣の存在が「当然視」される世界
→ただし25年間平和が続いている影響で「ウルトラマンは伝説化」しています。

【GUYSとは】

 地球には怪獣の存在が前提となって対怪獣組織が作られています。80(エイティ)の時代に組織されていた防衛隊が解散し、あらたにGuard for UtilitY Situation(あらゆる状況のための防衛隊)が創設されました。

 GUYSのライセンスは16歳から誰でも試験を受けて取得できます。ただしライセンスをもっていてもGUYSへの入隊義務はありません。25年間怪獣が出現しないため、GUYSのライセンスは「就学や就職などに便利な資格」として扱われるようになっています。

 このようにしてかつてウルトラマンが活躍した世界との連続性が描かれています。それだけでなく、子どもたちの生活にもウルトラマンのことが伝えられているということが「ウルトラ5つの誓い」で表現されます。

一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと
二つ、天気のいい日に布団を干すこと
三つ、道を歩く時には車に気をつけること
四つ、他人の力を頼りにしないこと
五つ、土の上で裸足で走り回って遊ぶこと

 この世界の人にとってウルトラマンとは何でしょうか? 宇宙から怪獣が来襲し、メビウスが登場した時、人々は次のように反応していました。

子ども:「あれ? パパが好きだって言っていた」
父:  「ああ、ウルトラマンだ」

そして人々は喜びの声を上げていました。
 こうした人々の反応は「ウルトラマンが地球を守る正義のヒーロー」であることを示しています。「地球を守る正義の味方」というのはウルトラマン(ヒーロー)という地位に対する役割期待です。

【ウルトラマン(ヒーロー)に対するイメージ】

 ヒーローは絶対的な正義、怪獣は絶対悪だととらえられます。そして正義は悪を駆逐しなければなりません。これを「勧善懲悪」と呼びます。
 ウルトラマンは巨体で闘うのですから、街の建物を破壊するのは仕方がありません。そしてこれまでの作品ではウルトラマンが建物を破壊することに対して批判は出ませんでした。さらに街は次に週の放送では復元されています。つまり毎週毎週ウルトラマンの破壊行為はリセットされたということです。このウルトラマンの破壊行為が人々に非難されることがないということは、人々の次ような反応によっても明らかです。

怪獣を倒したときの人々の「やったー」という声


ウルトラマン(ヒーロー)は正体を知られてはならないという不文律があります。
→家族に対してもヒミツ

*ガイア、コスモスは親も正体をしらなかった(この作品では親が登場します)。というか、ヒーローの両親はほとんど登場しません。

ヒーローが闘うのは無償の行為
→給与はない

 人の姿としてのウルトラマンはそれぞれに職業をもっていますし、持っていない場合は防衛隊で働くという形になっています。

ウルトラマンは圧倒的な力で怪獣と闘います。一部のウルトラマンは怪獣他の戦いに敗れて特訓をしたりしますが、大部分のウルトラマンは最初から人間にはない圧倒的な能力を持っていて、その能力によって怪獣を退治しています。ウルトラマンが地球にいれば、それだけで人間に平和がもたらされるわけです。

→ウルトラマンがいればGUYSは必要ない

*「何闘う気満々って顔をしてやがるんだ。もうGUYSなんて必要ないんだよ」

【破壊行為に対する批判】

「ビルを盾にしやがった」
まわりを見てみろ。なんてへたくそな戦い方だ。何も守れてねえじゃないか」

 これまでは批判されることがなかったウルトラマンの破壊行為に対してはじめて批判の声があげられています。これはウルトラマンの戦い方に対する人々の意識の変化が背景にあると思われます。

つまり、ヒーローを現実社会と相対化して分析する、ということが行われるようになったということです。

*「ウルトラマン研究序説」(中経出版、1991)
→謎本ブームの先駆け

【タイバニの設定(世界観)】
NEXTと呼ばれる特殊能力をもった人間が誕生している世界。

舞台になった世界では、ヒーロー(英雄)=特殊能力者、というイメージからNEXTにヒーローという地位を与えて(司法局の許可が必要、つまりヒーロー資格が必要)、ヒーローとして活動させています。

【ヒーローの役割変化】
「TIGER & BUNNY」の面白さは、ヒーローという地位に対する役割の不自然さを相対化して表現しているということです。具体的にはこれまでのように人間とは隔絶された、比較の対象にもならない存在ではなく、人間と同列におかれて表現されています。これはそれまでのヒーロー作品とは異なった描き方です。このことは後に示すやりとりからわかります。

ヒーローの正体:
「ヒーローというのはな、正体を明かさないからヒーローなのであって」
「古いな。あなたは時代遅れなんですよ。おじさん


器物損害に対して
「そんなの気にしていたら平和なんて守れないっすよ」
「それを気にしてくれないと、オレがおまえを守れないよ。誰のおかげでヒーローやれてるかわかっているよな?」
「スポンサーです」

ヒーローは有資格者であり、「平和を守る」という職業として確立されています。特殊能力者ではあるが「一般人」と変わりません。人間と同じ存在である以上、人間に与えられる義務もヒーローに課せられます。

【役割の変化】
時代、社会情勢、人々の意識、科学的知識などが変化すれば、地位に対する役割は変化します。

しかし人々の多くは構造的地位-構造的役割を固定的に捉え、それに固執しようとします。これが世代間ギャップの原因になることがあります。


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社会学入門2012 第7講 地位と役割(2) [社会学入門]

社会学入門2012 第7講 地位と役割(2)


 今回のテーマは引き続き「地位と役割」です。題材である『オレンジデイズ 第1話』のオープニングシーンで企業面接の帰り、地下鉄のホーム櫂がいます。このシーンには携帯電話で話をしながら頭を下げるサラリーマンと、合コンの話をする大学生がいます。そして櫂は、
「僕は今、学生と社会人の中間にいる」
というセリフ(ナレーション)を言います。就職活動中の4年生の人は同じような印象をもっておられるのではないでしょうか? このシーンは社会学的にはどのような意味をもっているのでしょう。
 続いてカフェでのシーンです。サトエリ演じる女性に「ゲー」だと告げる場面の後で、翔平と櫂が口げんかをします。その中で櫂の言葉を受けて啓太が次のような台詞を言います。
「試験落ち続けるとさ、新橋のガード下で酔っぱらってるサラリーマンも輝いて見えるよな。ああ、この人たちはちゃんとどっかの企業が採ってくれたんだ。どっかに所属してんだ、って。俺ら、だって大学卒業したらただのプーだぜ。どこどこの誰々って言えないんだぜ。」
このセリフは何を意味しているのでしょう。今回はこれらのシーンを社会学的に分析することから始めます。
 櫂が使った「学生」や「社会人」という言葉を、社会学では「地位」(status)と呼びます。辞書的には、「地位とは、集団や社会に占めるその人の立場」と定義できます。そしてすべての人間には「地位」があります。ドラマの中に登場した地位について考えてみましょう。娘や母親といった家族内の地位、大学の学生、バイト先のチーフ、プロカメラマンの助手、自分で稼いで生活している「社会人」などの地位が見られます。そもそも「名前」は人間が最初につく「地位」です。
 人間にとって「地位」とは何でしょう。物事の意味を考えるときには、仮にそれが「ない」場合を考えてみるとわかる場合があります。
 もし人間に地位がないとすると、どういうことが生じるのか。たとえば、「名前」がなければどういう問題が生じるでしょう。我々は記憶喪失によって名前を忘れてしまった人がいると、必ず名前をつけます。ネットで書き込む場合では本名は使わなくても、ハンドルネームを使います。「匿名」という「名前」を使う人もいますが。名前のないペットにも最初に名前をつけようとします。名前のないペットを見ると、「なんて、呼んだらいいの?」と言って、名前がついていないことに強い疑念を示します。
 それでは名前は「相手を呼ぶだけ」のためにあるのでしょう? それともそれ以外に何かようとがあるのでしょうか。
 「地位」が何であるのか、という疑問に対する答え、名前がどんな働きがあるのか、ということについての回答は、啓太の言葉に隠されています。啓太は「どこかに所属してんだ。どこそこの誰々」と言っています。この「所属」ということが「地位」と密接に関係しています。
 個人が何らかの地位に所属します。名前があるということは、生まれたときから所属先が「ある」ということになります。櫂は結城櫂という名前です。つまり櫂は「結城」という家に所属しているということを示します。
 どこかに所属しているということについてもう少し深く考えてみます。我々がどこかに所属しているということについて、啓太は次のように言っています。
「俺ら、だって大学卒業したら、ただのプーだぜ。どこどこの誰々って言えないんだぜ」
啓太は所属先がないということについて、大きな不安を感じています。これは所属感の喪失ということであり、アイデンティティに関わる問題です。
 アイデンティティとは何か。アイデンティティとは「個人の存在を証明するということ」です。そして個人の存在は、自分自身では証明できません。自分自身で自分のことを証明しても、それを誰もが信じるとは限らないからです。「社会的に存在が認められ」ないと、自分の存在を証明したことになりません。すなわち自分の存在は「客観的事実」によって証明される必要があります。
 地位は多くの人が認める立場で客観的です。ある地位に所属しているということが、その人の存在を証明することになります。
 オープニングの「学生と社会人の中間」というシーンは、「所属がはっきりしない中途半端な状態」を示しています。つまり主人公が「不安定」な状態にあるということを表現します。地位が変化するということは所属先が変わるということになり、心理的に「アイデンティティが揺らぎ」を感じているという状態です。学生から社会人になるというのは、まさに地位が変化するということであり、櫂は「アイデンティティの揺らぎ」を感じ、不安定になっています。
 櫂の冒頭のナレーション、「そして、僕は子どもでいられる最後の年に、彼女と出会ったんだ」、という言葉が示すように、このドラマ全体に登場人物たちの「揺らぎ」が描かれています。「学生と社会人の中間」というシーンはドラマ全体に通じるテーマを表現しているのです。
 さて実際、「フリーター」や「プー」と表現される人たちは、心理的にどこにも所属できない不安定な状態にあります。こういう状態を「アイデンティティ喪失」と呼びます。長期間にわたって「アイデンティティ喪失」の状態が継続すると、人間として生きていくことがつらくなります。極端に言えば、「存在していない」ということと同義だからです。そういう人たちには明確な「地位」を確保しなければなりません。
 地位といっても多種多様です。ここでは4種類の地位について説明します。<人との関係性で見た場合>「構造的地位」と「対人的地位」の2種類があります。<時間的に見た場合>地位は「一時的地位」と「恒常的地位」に分けられます。これらの種類の地位は、実際には明確に区別されるわけではなく、複数の地位に同時に所属したり、いくつかの地位を繰り返して変わったりします。
<構造的地位>
 構造的地位は、職業、年齢、性差、家族内の立場、社会階層など社会の多くの人が、「共通して」固定的なイメージとらえる「地位」のことです。いわゆる「社会的地位」(social status)にあたります。ドラマに登城した構造的地位には以下のような地位がありました。
学生、サラリーマン、兄妹、母と娘、大学教員、大学事務職員、店員など
<対人的地位>
 我々が友人たちと一緒にいるとき、最初から集団内の立場が決まっていることはありません。集団内の地位は、「他者との関係」(相互作用)、実際のやりとりの中で、自覚的あるいは自然に形成されます。これを「対人的地位」と呼びます。
 ちなみに他者との相互作用によって形成された「対人的地位」が、多くの人に承認されて固定的なイメージでとらえられるようになると「構造的地位」になります。
 ドラマの中で描かれた対人的地位には次のようなものがあります。
就職課掲示板前での櫂と沙絵の対人関係
 沙絵に対する櫂の話し方を見ると、櫂は自分が上級生、あるいは少なくても就職活動上の先輩だと考えていることがわかります。そして櫂は「先輩」のように対応しています。
→声の調子。別のシーンで会話するときのトーンとは全く異なります。
櫂、翔平、啓太の対人的地位
→女の子とのつき合い
→要領よく世間を渡っていく
→きまじめで人望がある
櫂と真帆の関係
 櫂と真帆の地位は、対人的地位→構造的地位の典型的な例です。ドラマの中で櫂は真帆に「あなたは僕の恋人なんだから」という言葉を何度か言います。これは「恋人」という構造的地位にあることを明言しています。それに対して真帆の方は、構造的地位に所属することに対して少し抵抗感があるようです。
 「恋人」というのは、他者も承認する関係なので、構造的地位です。しかし承認される前は恋人という固定的な関係ではありません。人によって状況は変わりますが、大部分の恋人関係は、恋人という構造的地位が形成される前に対人的地位によって構成される関係の段階があります。
 櫂と真帆の場合、先輩と後輩という構造的地位による関係が出発点になっています。しかしこの関係は櫂と真帆とのやりとりの中で変化しました。おそらく櫂が想像以上にしっかりしていたため、真帆は櫂を頼りになる存在として意識するようになったのでしょう。そして先輩が後輩に依存するというように対人的地位が形成されます。そしてその後、恋人という構造的地位へと変わろうとしています。
 ただし真帆は年上、先輩という構造的地位へのこだわりがあります。だから自分が櫂の恋人だと主張すること、それを周囲が認めることに抵抗を感じているのです。
<一時的地位>
 「一時的地位」は、その場の状況によって一時的に占める地位のことです。たとえば、電車やバスの乗客、デパートの客、通行人などがあげられます。
 ドラマでは・・・
面接試験の受験生、地下鉄の乗客、カフェの客、遊園地の客、タクシーの客が対人的地位の例になります。
 一般に「客」は一時的地位ですが、「常連客」や「顧客」は一時的に占める地位でなくなっており、次の「恒常的地位」になります。
<恒常的地位>
 「恒常的地位」は、長期間(場合によっては生涯にわたって)占める地位です。その大部分は「構造的地位」になります。
 ドラマでは・・・
「兄」、「妹」、「母」、「娘」、「ピアニスト」、「大学教員(大学の指導教官)」、「会社員」が恒常的地位にあたります。「学生」は「一時的地位」よりは長期にわたるため、「恒常的地位」と考えられます。
 さて、「地位」は人が所属する枠組み(器)=ハードウェアです。それでは器の中身、ソフトウェアは何でしょう。社会学では地位の中身を「役割」と呼んでいます。
 「役割」は、地位に期待され、望まれ、あらかじめ用意された行動様式を指します。安定した社会(戦争や紛争などが生じていない社会)では、地位ー役割が対応しています。
「構造的地位」-「構造的役割」
「対人的地位」-「対人的役割」
「恒常的地位」-「恒常的役割」
「一時的地位」-「一時的役割」
 日常生活の中で我々は相互に相手の地位に対する役割を期待しています。これを「役割期待」と呼びます。
 相互に期待している役割通りに行動することを「役割取得」と呼びます。我々は日常生活の中で役割期待に応えて役割を取得しようとします。役割期待や役割取得は何を生み出しているのでしょうか。
 相手が期待していると考える行動をとることによって、すなわち役割取得した行動を行うことによって、集団や社会、その場の秩序が維持されます。場の雰囲気が崩れないということは、場が安定しているということです。当然、我々の相互の関係も安定します。対人関係が良好な状態で維持されれば、相互に相手を信頼し、安心して生活することができます。もしも相手が期待しているとおりに行動しなければ、相手を「危険人物」だと考え、不安を感じます。
 それではどのようにして役割取得が行われるのでしょう。
 一般に役割取得は同じ地位の人や同じ集団に属する人をモデルにして、相手の行動を「模倣」することによって行われます。たとえば、ドラマの中で啓太は先輩に呼び出されていますが、会社の先輩の行動を模倣することで、会社員としての役割を取得できます。
 あるいは相手の行動に対応することを繰り返すことによって、役割を取得する場合もあります。櫂と沙絵は豊島園でデートします。この時、櫂は沙絵が「姫」であることを発見するのですが、その姫のような態度に対応することによって、櫂は姫を守る「ナイト」のような役割を取得していきます。
 人間にとって「模倣」は非常に重要な能力です。なぜなら人間は他の生物のように遺伝子レベルでの行動パターンをもたないからです。すでに説明したように一般的に生物は遺伝子に組み込まれたプログラムに従って行動します。生まれてすぐに立ち上がって母親の乳を飲んだり、親が運んでくるエサを食べるという行動は誰からも教わっていません。最初から行動プログラムがあるので、複雑な行動でも生得的に行うことができます。
 しかし人間はそうした能力を放棄してしまったために何らかの形で行動パターンを習得しなければ、何も行動することができません。人間は他者の行動を「模倣」することによって行動パターンを習得します。もし人間に模倣の能力がなければ人間になれません(人間らしい行動をとれません)。このように模倣によって行動パターンを習得するプロセスを、社会学では「社会化」と呼んでいます。
 この模倣の能力に加えて、人間には他の生物とは異なる能力を持っています。それは「他者の視点に立って物を考えることができる」という能力です。模倣の能力は一部のほ乳類にもみられますが、この「他者の視点でものを考える」という能力は人間に特異な能力です。この能力によって我々は「役割取得」が可能になります。また相手の気持ちを考えたり、共感したり、あるいは動機を推測することができるのです。
 我々は模倣によって行動パターンを習得し、人間としての基本的な行動を行うことができます。いわば人間になるのです。もしも模倣の能力や他者の視点でものを考えることができなければ、人間として社会生活を円滑におくることができません。しかし最近はこれらの能力が十分に発揮できない人が増えています。そのため人間関係でのトラブルが絶えなくなりました。これについてはまた別の機会に説明したいと思います。
 さてこの地位-役割は人間の行為にとってどのような機能(働き)を果たしているでしょうか。私たちは特定の場、状況で自分に与えられている「地位」にふさわしい「役割」とおりに行動しようとします。これは言い換えれば行動を拘束する規範になっていると言うことです。我々は取得した役割通りに行動することによって、安定した社会生活をおくることができます。我々は規範である役割を取得して、そのとおりに行動することで、円滑に生活しているのです。
 以前、行為のモデルを説明する中で、規範に従って行為するということは人間を「楽」にしていると紹介しました。まさに役割は人間の行為を自動化する仕組みであり、人間は役割という規範に従って行為する限り、何も考える必要はありません。
 たとえば、「学生」は学生という役割規範に従って行動している限り、社会的に非難されることはありません。しかし「社会人」になってから「学生」のように行動すれば、非難の対象になり、正常な人間としてつきあってもらえなくなるでしょう。
 さて役割を規範として受け入れ、期待される役割通りに行動することに何か問題はないのでしょうか。
 たとえば櫂と真帆の関係では、櫂は真帆に誰の前でも「恋人として振る舞う」ことを期待しています。櫂にしてみれば恋人という構造的地位に変化しているのだから、その構造的地位に期待される役割通りに行動するのは当然だと考えているのです。しかし真帆はそれを受け入れることができません。このように期待される役割を取得することに本人が何らかの抵抗を感じることは少なくありません。
 今回教材とした第1話ではあまり表現されていませんが、ドラマの中で聴覚障害者であるサエは、まわりの人間から聴覚障害者として対応されているシーンがあります。こうした対応にサエは傷つけられます。このように役割の中には本人の意志を無視した役割を強制されることがあるのです。子どもが生まれたとたんに「親として」の役割を期待されるということもそうした強制の一つになっています。家族の規模が大きかった頃には、子どもの誕生と同時に親は親として行動することが可能でした。なぜならそれまでに親としての行動を模倣していたからです。しかし現在のように単家族が一般化すると、我々は以前のように親としての行動をきちんと模倣することができなくなります。その結果、我々は模倣することなく親として行動することが期待されます。模倣の対象がないのですから、きちんと行動できないのは当たり前です。
 最後に地位と役割の対応が変化するということが問題になります。最初に説明したように社会が安定していると、地位と役割は固定的な関係になっています。しかし社会が安定せず、変化が大きくなると地位と役割の対応にも変化が生じます。前述の親としての行動もその一つですが、それだけではなく、多くの職種・職階においても地位と役割の関係が崩れていきます。世代間で役割のとらえ方が異なるのは、そうした社会変化を考慮できないからです。就職活動中の学生という地位に対する役割および期待は時代によって変化しています。しかしそのことに気づかず、昔と同じだと捉えている人は、現在就活中の学生に奇妙なプレッシャーをかけてしまいます。

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社会学入門2012 第6講 地位と役割(1) [社会学入門]

社会学入門2012 第6講 地位と役割(1)

 今回の題材は北川悦吏子脚本の『オレンジデイズ 第1話』です。このドラマは、脚本家北川悦吏子と若手注目株の俳優との組み合わせで、TBSの日曜劇場で放映されました。関東地方で最高視聴率23%と記録し、平均視聴率は17.2%です。
 
放送期間:2004年4月11日~2004年6月20日(全11話)
キャスト
結城櫂  : 妻夫木聡
萩尾沙絵 : 柴咲コウ
相田翔平 : 成宮寛貴
小沢茜  : 白石美帆
矢嶋啓太 : 瑛太
スタッフ
プロデュース : 植田博樹
脚本     : 北川悦吏子
演出     : 生野慈朗、土井裕泰、今井夏木
音楽     : 佐藤直紀

 この作品は役者が先に決まっていてその役者にあわせて脚本が書かれた「当て書き」という手法で脚本が書かれています。役者のイメージに合わせ、また役者と相談しながらセリフが書かれているため、演技として非常に安定しているように感じられます。


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社会学入門2012 第5講 行動と行為(4) [社会学入門]

社会学入門2012 第5講 行動と行為(4) リポート

課題作品

仮面ライダーW」(第1,2話)
脚本:三条陸
監督:田崎竜太
2009年9月6日~2010年8月29日

第1回リポート課題:

「津村真里奈の行為の説明」

第1話と2話に登場する真里奈はどうして翔太郎に仕事の依頼をしたのか。真里奈の行為を、「行為モデル」を参考にして分析すること。

☆説明の根拠をあげて、詳しく論述すること。私は行間の意味をくみ取らない。すべて言葉で表現すること 。

【リポートの注意事項】
☆この課題は感想文でも作文でもない、小論文として描きなさい。
☆文字数は800字以上。

【提出方法】
基本的には大学のリポート管理システムであるCoursePowerを利用して提出すること。このシステムを利用できない場合は、電子メールに添付して提出すること。その際、受領確認メールが返信されるのでそれを確認しなさい。なおメールアドレスは講義中に案内している。

【提出期限】
2012年5月24日(木曜日)授業終了時間まで

☆提出期限に遅れた場合には提出されなかったものとする。いかなる理由も受け付けない。なお、リポートが提出されなかった場合には、「F」(失格)となる。





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